リノベーション会社が作ってくれたデザイン案を、母と祖父母の家で眺めていたときのことです。
「ここ、こうしたほうがよくない?」
口をついて出た意見が、1つ、2つ、3つ——気づいたら止まらなくなっていました。靴を脱ぐ動線、座卓だけのレイアウト、縁側の使い方。プロが考えてくれた案に対して素人が口を出すのもどうかと思いつつ、実際にその空間で過ごすのは自分たちなわけで、どうしても気になってしまいました…
ただ、母に「こうしたほうがいい」と言うだけだと、お互いの感覚のぶつけ合いになってしまう。そこで思いついたのが、AIに第三者として意見を聞いてみることでした。「AIがこう言っている」という根拠があれば、母にも納得してもらいやすいんじゃないかと考えたからです。
ちなみにうちは築約70年の祖父母の空き家を家族で古民家カフェにしようとしていて、今は構想段階の真っ最中です。内装の失敗はコンセプトのブレに直結するという話は2本目の記事にも書いたんですが、今回はそのコンセプトを固めるためにAI(Claude)と対話しながら内装を考えた過程をそのままお伝えしていきます。
間取りを全部言葉で説明するところから始まった
AIに内装の相談をするとなると、間取り図を読み込ませるのが手っ取り早いと思うんですけど、そのときは母と祖父母の家にいて、手元に図面がありませんでした。
なので、全部言葉で説明しました。何部屋あって、それぞれ何畳で、どの部屋とどの部屋がつながっていて——という情報をテキストで打ち込んでいく。正直けっこう面倒でしたけど、やってみると意外と伝わるものです。
進め方としては、1つのチャットの中で項目ごとに聞いていくスタイルでした。「まず靴で入れる範囲どうしたらいい?」と聞いて、答えが返ってきたら「次はテーブル席について聞きたいんだけど」と切り替える。母と話しながらリアルタイムで聞いていたので、会話のテンポに合わせて次々と質問を投げていった感じです。
プロンプトを作り込んだわけでもなく、本当に普通のチャット。それでもちゃんと使える回答が返ってきたので、内装の壁打ち相手としてはかなり優秀でした。
項目ごとのやり取りと判断
ここからは、実際にClaude相手にやり取りした項目をいくつか紹介します。
靴を脱ぐ境界をどこに引くか
リノベーション会社のデザイン案では、入り口で必ず靴を脱ぐ動線になっていました。古民家だから靴を脱ぐのは自然なんですけど、全部脱ぐとなるとテイクアウトのお客さんは困ります。30分だけお茶しに来た人に靴を脱いでもらうのも、ハードルが高いんじゃないかと思ってしまいます。
Claudeに聞いてみたら、土間スペースを残して靴のまま入れるエリアと靴を脱ぐエリアを分ける案が出てきました。これは母と話していた方向性とも一致していて、やっぱりそうだよねという確認になりました。
座卓だけにするか、テーブル席も入れるか
姉は畳に座卓のスタイルにしたい派。古民家らしさという意味ではわかるんです。でも、座卓って長居するとけっこう疲れませんか? 地べたに座るのがしんどい人もいるし、全席座卓だとふらっと寄りたい人も入りづらいですよね。
このあたりもClaudeに相談して、座卓メインにしつつも一部テーブル席を設ける案で話がまとまりました。実際に祖父母の家で「ここにテーブル席を置いてみたら?」と母に提案したら、けっこうすんなり納得してもらえました。
縁側に席を置くかどうか
個人的に「古民家カフェといえば縁側席でしょ」くらいに思っていました。庭を眺めながらコーヒーを飲むの、最高じゃないですか。
ところがClaudeは、縁側に席を置かないという選択肢を出してきたんです。うちの縁側はそこまで広くないこともあって、無理に席を詰めるより通路や余白として活かすほうがいいんじゃないか、とのことです。
これは自分たちだけだと出てこなかった視点でした。「縁側=席を置く場所」という思い込みがあったので、置かないという発想自体がなかった。結局、思い切って縁側には席を置かない方向で考えることにしました。
入り口付近の席配置
もうひとつ印象的だったのが、入り口付近の席の話です。ただこれはClaudeから出た提案ではなくて、こちらから「入り口近くは落ち着かないから席を置きたくない」と言って、それをベースに配置を考えてもらった形です。
入り口の近くって人の出入りが気になるし、外の音も入ってくる。「ここに座りたくないな」という感覚は、たぶん実際にその空間を知っている人間じゃないと出てこないと思います。
AIにできたこと、できなかったこと
一通りやってみて感じたのは、AIは「選択肢を広げる相手」としてはかなり使えるということです。
縁側の話がまさにそうで、自分たちの思い込みを外す提案をしてくれたのはありがたかった。靴の動線や席の配分についても、「こういうパターンもありますよ」と複数案を出してくれるので、家族の議論の叩き台としてかなり機能しました。母への説得にも「AIもこう言ってる」が使えるのは、地味に大きいです(笑)。
一方で、人間の感覚的な部分——「この席は落ち着かない」「ここに座ったとき視線が気になる」みたいなことは、こちらから伝えないと出てきません。空間の居心地って、間取りの情報だけでは判断できない部分があるんだなと思います。
もともと今回AIを使ったのは、あくまで意見出しの相手としてでした。「AIがこう言ったからこうする」ではなくて、AIの提案を材料にしながら最終的には自分たちで決める。今回のやり取りを通じて、AIの使い方としては、改めてその距離感が大事だなと再認識しました。
もしこの記事を読んでAIに内装を相談してみようかなと思った方がいたら、ひとつだけ伝えておきたいのは、AIの回答を鵜呑みにしないでほしいということです。AIは便利だけど、その空間を知っているのは自分たちだけ。最後に決めるのは、そこで過ごす人間のほうです。
うちはまだこれからリノベーション会社に技術面と費用感を確認してもらう段階なので、ここで考えた内装案がそのまま実現するかはわかりません。でも、家族だけで話していたらぐるぐる回っていたかもしれない議論が、AIという第三者を挟むことで一歩前に進んだのは確かです。
次はリノベーション会社からの回答を踏まえて、内装がどう変わったか(あるいは変わらなかったか)を書けたらいいなと思っています。構想段階の手探りはまだまだ続きますが、同じように古民家カフェを考えている方の参考になればうれしいです。


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